バイリンガルとは?基準や定義って国によって違うの?

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バイリンガルってどのような意味なのでしょうか?バイリンガルという言葉を聞いて思いつくのは、一般的には「英語が話せる日本人」のようなイメージだと思います。ウェブや本などでも、バイリンガルという言葉が使われる回数が増えてきています。例えば、「バイリンガル人材」や「バイリンガル教育」といった、「バイリンガル◯◯」のような言葉も、最近ではよく見かけます。

果たして、このような表現に該当する「バイリンガル」とは、一体何なのでしょうか?「スバリ、ここまでできたらバイリンガル!」と、いうような基準は存在するのでしょうか?

この記事では、他国と日本を比較しながら、バイリンガルについて解説していきます。

バイリンガルの定義とは?

「バイリンガル」という言葉を英語では「bilingual」と書きます。この言葉は、「2つ持つ」という意味のラテン語「bi」と舌を意味する「lingua」に由来しています。辞書で調べると、バイリンガルとは、二言語を自由に使いこなすこと。また、その人。」と出てきます。とてもシンプルですね。ただこの辞書の言う、「二カ国語を自由に使いこなす」ってどれくらいなのかが、今回の焦点です。

有名なバイリンガルの研究者による定義

バイリンガルについての研究で有名な、フランソワ・グロジャンという大学教授がいます。専門は心理言語学で、言語処理のモデルのほか、言語の知覚・理解・産生、バイリンガリズムとバイカルチュラリズム、手話とろう者のバイリンガリズム、失語症患者の発話理解の評価方法などについて研究を行ってます。彼の著書、『バイリンガルの世界へようこそ』を参照してみます。

彼の定義によると、バイリンガルとは、「二言語またはそれ以上の言語や方言を日常生活の中で定期的に使用すること」とされています。

そして、この定義から考えると、世界で半数以上の人がバイリンガル、もしくはバイリンガル以上ということになります。つまり、世界全体で語ると、バイリンガルは特別な存在ではなく、むしろ普通の存在なのです。

バイリンガルの世界へようこそ

幼い頃からの訓練が必要? 早い時期からバイリンガルになると、言語習得が遅くなる? バイリンガルにまつわる誤解を解消する。

日本でのバイリンガルの定義

日本人の英語学習者174名を対象に行われた研究「Am I bilingual? Reporting on the self-reflections of Japanese EFL learners (2021)」によると、「読む」、「書く」、「話す」、「聞く」の4つの領域が同じくらい流暢であることが「バイリンガル」の条件であるという点で、大多数の学生の意見が一致したそうです。そして、研究対象となった人の大半は「二つの言語を同等に使いこなせなければ、バイリンガルとは言えないと考えている」と回答しています。この研究からわかることは、日本人のバイリンガルの判断基準は、非常に厳しいということです。

おそらく、日本人の場合は、海外に比べて人種の多様性がなく、生活の中で他の言語に触れる機会が少ないこと、そして義務教育で普段生活で使えるように英語能力を身につけることができる人が少ないことが、このバイリンガルの基準を厳しくしてしまう価値観を生み出しているのではないでしょうか。

日本でバイリンガルと呼ばれる人たちは、留学やワーキングホリデーなど、学校での英語教育以上の特別な努力をして身につけた人が多いです。その結果、英語を話せる人は、ものすごい努力をした人、もしくは家族のバックグランドが海外にあったりするごく少数の人だけが英語を話せるのだろうという共通認識が存在するのです。この日本人特有のバイリンガルに対する価値観ゆえに、バイリンガルという存在を特別なものにしているのかもしれません。

参照: https://bilingualscience.com/introduction/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AB%E3%81%A8%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%80%8C%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/

バイリンガルではない人は何と言うのか?

世界で半数以上の人がバイリンガル(もしくはそれ以上)であるならば、その反対で、普段一つの言語しか使用しない人は、マイノリティということになります。このような、普段一つの言語しか使わない人たちのことを「モノリンガル」といいます。一般的な日本人の場合、外資会社で勤務していたり、インターナショナルスクールなどに通っていない限り、普段の生活で日本語以外を利用する方は滅多にいないでしょう。私たち日本人はモノリンガルであり、そして少数派なのです。

バイリンガルの分類分け

先ほど紹介したバイリンガルの研究者のフランソワ・グロジャンは、バイリンガルについてこのように述べています。

「バイリンガルは、自分の言語を必要なレベルまで知っています。あるバイリンガルは一つの言語を支配的に使い、あるバイリンガルは一つの言語の読み書きを知らず、あるバイリンガルは一つの言語について受動的な知識しか持たず、ごく少数のバイリンガルは、それぞれの言語について平等かつ完璧に流暢に話すことができます。重要なことは、バイリンガルはモノリンガルと同様に非常に多様であるということです。」

つまり、バイリンガルの中にも実はいくつか種類があるのです。
習得時期と熟練度別による分類分けを紹介します。

習得時期による種類分け

いつ言語を身に付けたかによって分類する方法です。習得時期によって、脳のどの部分で言語を処理しているのかが変わると言われています。

習得時期

早期バイリンガル

早期バイリンガルとは、3歳までに二ヶ国語を習得した人のことを意味します。

後期バイリンガル

後期バイリンガルとは、3歳以降で二カ国語を習得した人のことを意味します。

熟練度別による種類分け

二つの言語の熟練度(どれくらい使えるのか)によって分類する方法です。例えば日本語はとても流暢に話せて、英語だとそれなりに話せるが日本語ほど話せないなど、一概にバイリンガルと言っても二つの言語の熟練度は人によって様々です。

フォニックスから得られる効果

熟練度別

均衡バイリンガル(バランス・バイリンガル)

二つの言語に能力の差がなく、二つの言語をどちらも同じレベルで流暢に使える人のことです。数としては少なく、最も希少価値が高いとされています。

偏重バイリンガル(ドミナント・バイリンガル)

二つの言語のうち、片方の言語の能力の方が高い人のことです。ほとんどのバイリンガルが、この偏重バイリンガルに振り分けられます。能力が劣っている方の言語でも、日常生活で求められるレベルだと十分でしょう。

限定的バイリンガル(ダブルリミテッド・バイリンガル/セミリンガル)

二つの言語のどちらも流暢に使えない人のことです。言語をつかえないということは、論理的思考能力にも影響が出てしまいます。バイリンガル教育ではメリットばかり見られがちですが、見落としてはいけないリスクの一つです。

参照) The benefits of a bilingual brain

この記事では詳しく触れませんが、バイリンガルの種類については、また別の記事で詳しく説明します。

世界のバイリンガルデータ

世界のデータと比較して、バイリンガルについてより深ぼってみましょう。

イギリス

2021年に行われた、成人2,000人を対象に行われた調査によると、イギリス人の成人の36%が2ヶ国語以上の言葉を流暢に話すことができるとわかりました。人数にすると2,450万人にもなります。17.5%は、2つの言語を流暢に話すことができるバイリンガルです。そして、英国の6.5%の人は、3つ以上の言語を流暢に話すことができるマルチリンガルです。

アメリカ

米国国勢調査局によると、米国では21.6%の人が家庭で英語以外の言語を話しているそうです。これは成人の5人に1人の割合です。英語以外の言語を話せても、家庭で利用していない人もいるので、実際にはもっとたくさんのバイリンガルが存在しているはずです。ちなみにアメリカで最も人気のある第二言語はスペイン語で、次いで日本語です。日本語を話すのは日本だけなのに、それでも人気がある理由はやはり、アニメや漫画の力なのでしょうね。とても嬉しいことです。

インドネシア

インドネシアは世界最大のバイリンガル国家であることをご存知でしょうか?そして、最も多言語の国でもあるのです。インドネシアでは多くの人が幼い頃からインドネシア語、ジャワ語、英語を学び、少なくとも2億人のバイリンガルを抱えていると言われています。人口が2.7億人なので、およそ7割以上の人がバイリンガルなのです。

バイリンガルが生まれやすい環境

バイリンガルが多い国では以下のような特徴があります。

バイリンガルが多い国の特徴

母国語が英語ではない国では、英語を習得すればバイリンガルになります。英語を公用語としている国は多く、市場も最も大きいので、第二言語を学習する動機は、他の言語と比べて大きいでしょう。したがって、英語を公用語としていない国ではバイリンガルが生まれる割合が大きいと言えます。

また、経済的に発展を遂げていない国では、お金を稼ぐために他の国に出ていく必要があります。先ほどの理由もそうですが、やはり英語は一番大きな市場なので、英語を学ぶ人が多い傾向があります。

英語を公用語としている国の植民地だった国も、バイリンガルが多いです。例えばフィリピンはアメリカの植民地でしたが、今では人口の約8割ほどが英語を話すことができます。同じアジアの国でも、英語が話せる人の割合がここまで違うのは驚きです。

逆に日本のような他国に支配されたことがなく、経済が発展しているような国では、英語を話せる必要がなかったため、バイリンガルの割合が少ないです。

言語を使う必要があるという環境が、バイリンガルを生み出す最も大きな要因なのです。

まとめ

バイリンガルという言葉を、日本と世界を比較しながら解説しました。バイリンガルの定義によっては、世界の半分以上の人がバイリンガルと聞いて、驚いた人も多いのではないでしょうか。日本にいるとバイリンガルは特別な存在だと思ってしまいますが、世界で見ると、複数の言語を使える人は多数派なのです。バイリンガルという言葉を調べるだけで、日本と世界との違いを知れるのはとても面白いですね。また、バイリンガルについて書いていこうと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました!